あなたは無理していませんか?
「きつい」「つらい」「しんどい」という思いをしながら職場まで行っていませんか?
腹痛や頭痛などに悩まされていませんか?
それらは、心からのSOSかもしれません。
学校という現場では、真面目で頑張り屋な人ほど心身の不調を訴えているように感じます。
今回は、うつ病になって、病休・休職をとった経験を踏まえて、病休と休職の違いや、かかるお金、収入、どんなものが必要かまで解説します。
きつい思いをしているあなたのお役に立てれば幸いです。
1.病休を取るときの心身の状態
まず私や同僚が病休を取ったときの体験談から、そのときの心身の状態についてお話しします。
もし同じような状態なら、本当に危険信号です。
病休直前の、身体の状態
私がうつ病の診断をもらう前は、
朝の腹痛や頭痛に悩まされる
熱もないのに悪寒がする
何もしていないのに涙がでる
こういった状態が2,3ヶ月続きました。
病休直前の、心の状態
私がどんな気持ちで毎日を過ごしていたかというと、
毎朝気分が落ち込む
これまで気にならなかったことにイライラ
休みでも、生徒の人間関係などが気になってしかたがない
ゲームや映画のような趣味も楽しむ気にならない
このような状態でした。
気の休まるときがなかったんですね。
とにかく仕事のことに気がいって、休みに心と体を休ませることができませんでした。
同僚の先生が、精神疾患から失明仕掛けた話
初任で同期の先生は、40歳を超えたベテランで、器も大きく、生徒の対応にもなれていた頼れる教員でした。
そんな先生が2年目に身体を壊しました。
職員室で急に倒れたり、目がかすんだりし始めたんです。
保健室での休憩や早退きが増えてきたころ、病休になったと知らせが入りました。
親しかったので、その先生から直接聞いたところ、担任学級の生徒と合わず、心労が重なったことが原因だったのです。
「こんなにベテランの人でも、精神的にやられてしまうんだ。」
当時の私には衝撃的でしたし、まさか私も同じように病休するとは夢にも思っていませんでした。
年間5千人 病気で休職する先生
どれだけの先生が、休職されているのかが気になり、調べてみました。
実はここ10年ほど、毎年約5,000人の先生が休職されています。
ここまで多いとは調べるまで知らなかったので、驚きでした。
病気で休暇をとったり、休職したりというのは決して特別なことではなく、身近なことなのです。
2.病気休暇について
「病気休暇」と「休職」ってどう違うの?
わかりやすいように図を交えながら解説します。
「病気休暇」と「休職」の違いは、大まかに分けると、
期間
収入
必要なもの
必要なものにかかる金額
以上の違いがあります。
「病気休暇」と「休職」の違いは、ざっくり説明すると、このようになります。
期間
病休は一度で最長90日間とることができる休みです。
ただし、90日間連続でとってしまうと、同じ病名では二度と取れなくなります。
例えば、30日連続でとり、60日を残して休職に入ることもできます。
この場合、もし復職した後に、同じ病名で休むことになっても、60日間は病気休暇をとることができます。
私の場合、うつ病になった時点で退職を考えていたので、90日間連続で取りました。
収入
収入は上の図にも書かれているように、100%の給与がでます。
もちろん家賃補助もそのまま出ます。
しかし通勤手当や土日の部活動の手当は出ませんので、わずかに少なくなる可能性はあるでしょう。
必要なもの
病気休暇に入るにあたり、必要なものは
診断書
です。
診断書とは、診察した医師が書く、法的に根拠のある書類です。
ここに「1ヶ月の休養を要する」と書かれていれば、職場はその期間休ませなければなりません。
そして患者から「診断書を書いてほしい」と言われた医師は、診断書を書く必要があります。
医師法19条2項により、医師は「患者から依頼があった場合には正当な事由がない限り診断書作成を拒否できない」と規定されています。
阪口内科皮膚科クリニックより
https://sakaguchi-clinic.com/?page_id=1553#:~:text=%E8%A8%BA%E6%96%AD%E6%9B%B8%E3%81%AE%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6,%E3%81%A8%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
気分障がいや適応障がい、うつ病などの精神疾患が医師から認められれば、ほぼ間違いなく病気休暇に入ることになります。
もし病気休暇に入る必要があるのに、応じない職員に対しては、分限休職となります。
自ら休職をすることを拒否し、主治医にも、「療養が必要である」旨の診断書を提出しないように求めることがあります。このような場合には、分限休職処分をすることとなります。(地方公務員法第28条に基づく職員の意に反する免職、休職、降任及び降給の処分)
地方自治研究機構より
http://www.rilg.or.jp/htdocs/main/houmu_qa/2016/46_autumn01.html
病気休暇が取れるのは、診断書に書かれている期間です。
診断書に「1ヶ月の休養を要する」と書かれていて、その期間で治癒しなかった場合、期間を延長するための診断書が必要になります。
私は1ヶ月休養の診断書をもらったのち、2ヶ月休養の診断書をもらい、最大の90日間病休を取りました。
診断書をもらうまでが、一つのハードルです。
精神疾患の場合、
- 精神科(精神神経科)
- 心療内科
のどちらかにかかる必要があります。
精神科・心療内科ともに予約が取りづらいです。
有名なところですと、初診まで2ヶ月待ちということもあります。
総合病院のような大きな病院なら、待ち時間はかかっても受診できる可能性があります。
ただし大きな病院は、紹介状なしの場合、受診料が高くなるので気をつけてください。
とにかく早く診断してもらえる病院を探すことが先決です。
必要なものにかかる金額
必要なものは診断書でした。
診断書は健康保険が利かないので実費です。
一枚書いてもらうのにだいたい3,000円~6,000円です。
形式は各病院によって異なりますが、効力は同じです。
職場から指定される形式が複雑になると、もう少し高額になる可能性もあります。
私が行っている病院は3,300円で、形式が変わっても同額でした。
私の場合の金額をまとめると、
合計すると、約7,200円ほどかかりました。
以上が、病休に関しての解説です。
3.休職について
では次に、休職について解説します。
休職は申請してとるのではなく、教育委員会から「病休の期間では直りそうにないからしっかり休みなさい」と命じられるものです。
『心身の故障のため、長期の休養を要する場合』は、職員の意に反して任命権者が休職を命じることができる、とされています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261
(地方公務員法第三章第五節第二十八条2二より)
学校長が当該職員との相談を通して、病休期間よりも長い療養期間になると判断した場合に、教育委員会へ報告し、休職が命じられるのです。
校長先生と教頭先生が、自宅にいらっしゃって面談しました。
休職に入るにあたって、一度だけ校長先生、教頭先生と自宅で面談しました。
退職の相談をするまでにお会いしたのは、この一度だけです。
もう一度画像を見て、休職について解説していきます。
期間
期間は最長3年間です。
3年間の中で、どのくらいの休職期間を取るかは、管理職との相談によって決まります。
私は病休の3ヶ月とあわせて、1年間の休職を取りました。
その期間で、復職するとなれば、職場復帰訓練を行い、教育委員会との面談をクリアすれば、復職となります。
復職が難しければ、休職を延長するか、退職することになります。
気をつけなければならないのが、3年の休職期間を終えても復職できない場合、免職になることです。
休職期間が3年を超えると、地方公務員法第28条第1項第2号に該当すると判断され、免職となります。したがって、3年満了年月日をもって免職処分とすることができます。
地方自治研究機構より
http://www.rilg.or.jp/htdocs/main/houmu_qa/2016/46_autumn01.html
したがって最長3年の間に、教員を続けていくか否かを結論づけなければなりません。
収入
休職期間の収入は少し複雑。
大きく分けて、1年目と2~3年目で分かれています。
休職に入って一年間は給与の80%が収入として入ります。
これは採用している自治体から払われます。
2~3年目
2年目以降は給料が出ませんが、公務員は福利厚生が厚いのです。
共済組合に入っていれば、給料がでなくなってから1年6ヶ月は、給与の2/3を収入としてもらえます。(令和4年1月1日~)
これは傷病手当金といいます。
残る6ヶ月も傷病手当金附加金という手当があり、こちらも給与の2/3が収入としてもらえます。
地方自治体によって多少の差がありますので、事務の方に聞くのが一番確実です。
必要なもの
休職に入るために、教育委員会ごとに形式が定められた診断書の提出を求められます。
病休までは病院の診断書でいいのですが、休職からは、決められた形式の診断書を医師にお願いして書いてもらう必要があります。
二つの病院からの診断書を提出するのですが、これがなかなか大変です。
すでに一つは通院している病院があるので、かかりつけ医にお願いすればすぐですが、もう一つの病院を探すのが高いハードル。
とにかくもう一つ精神科や心療内科の病院を探して、診断書をお願いしなければなりません。
全部で5つの病院に電話して、やっともう一つの病院が見つかりました。
自治体によって他の書類があるところもありますが、診断書が間違いなく一番のハードルです。
必要なものにかかる金額
必要なものは診断書二つなので、
ここまでで、7,600円。
加えて休職中は、3ヶ月に一度教育委員会の形式で診断書一枚の提出が義務づけられています。
私は6ヶ月の休職期間を経て退職したので、
7,200円が追加されます。
提出にかかる出費はここまでですが、通院と薬の費用がかかります。
4.全体でかかる金額
通院は隔週で、薬は一度に5~6種類でていたので、概算すると
約48,000円です。
計算してみると、結構お金がかかっていますね。
まだ通院はしているのですが、ひとまず病休と休職中にかかったお金を算出します。
病休まで | 休職まで | 通院期間中 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
金額 | 7,200 | 7,600 | 48,000 | 62,800 |
病院や提出書類にかかった合計金額は、62,800円だとわかりました。
休んでいる間でも収入があるのはありがたいですが、出て行くお金は増えてしまいます。
5.病休や休職中の過ごし方
病休や休職中はとにかく時間があります。
しかし、時間が合っても気力がないとなにも動けません。
医師から言われたのは、「とにかく寝ること」でした。
しかし、とにかく寝ろと言われても、頭の中は罪悪感や残した仕事、自分のこれからのことが駆け巡り、寝付けません。
夜になっても気持ちは安定せず、寝たと思っても、悪夢で目が覚めるの繰り返しでした。
睡眠導入剤を処方してもらうようになって、少しずつ寝られるようになりましたが、それでも悪夢を見て目が覚めるのは変わらずじまい。
なんなら悪夢を見る時間が、長編映画のように感じるほどでした。
気持ちの回復には時間がかかります。
幸いパートナーがいたので、いろいろと話したり散歩したり、こんなことしてみたらと提案してもらったりして、大変助かりました。
一人の時間や暇な時間があると、不安が頭を支配します。
一人暮らしの人は、家族の元に身を寄せるのも身を守る術でしょう。
とにかく焦らず、職場のことから心を離し、自分を解放できることを見つけていくといいです。
私が休職中に見つけた趣味や過ごし方をブログに書いています。
ぜひ参考にしてみてください。
6.終わりに
「しんどい」「つらい」と思い続けたり、体調が崩れることが頻繁になっていたりするときは、心からのSOSかもしれません。
SOSを無視して頑張り続けると、私の同僚の先生みたいに身体が壊れてしまうでしょう。
その同僚の先生は、もう一度同じ状態になると失明すると言われていました。
元気でいてくれることを祈るばかりです。
教員の方々は、あなたと同じように真面目な方が多いです。
そんな真面目さが悪い方に出て、頑張って頑張って頑張り続けて、亡くなってしまった方もいます。
今回の経験で感じましたが、自分を守れるのは最終的には自分だけです。
仕事も大事でし、いなくなれば迷惑をかけることにもなりますが、それでも命以上に大切なものはありません。
どうが無理をせずに、ご自愛ください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。